はじめに
「うちの子、最近スマホばっかり見てるけど…何してるんだろう?」
「友だちとSNSでつながってるって言うけど、本当に安心?」
親世代が子どもだった頃にはなかった“オンラインの世界”。
今、子どもたちは現実世界と同じか、それ以上に「SNS上の関係」に心を揺らし、そこに喜びや孤独、ストレスまでも抱えています。
今回は、子どもを取り巻くデジタル環境のリアルと、私たち親にできることを一緒に考えていきましょう。
●SNSがない環境で、子ども時代を過ごした方
●子どもにPCやスマホを渡しているが使い方に不安がある人
●ネットの使い方について、子どもに話す自信がない方
SNSが子どもにもたらす影響
SNSは「便利で楽しいツール」である一方、子どもの心に大きな影響を与えることが分かってきました。
【米国・カイザー財団の調査(2020年)】
- 8〜18歳の子どもは、1日に約7時間をスクリーンの前で過ごしている
- SNSを長時間利用する子どもほど、うつ症状や不安感が高まる傾向にある
SNS利用時間が多い10代ほど、翌年の幸福度が低くなる傾向(特に女児)
【イギリス・ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の研究】
SNSは、自己表現の場であると同時に「常に評価される場所」。
“いいね”の数に一喜一憂したり、グループチャットでの既読スルーに傷ついたり…。
画面の向こうで、子どもは想像以上に神経をすり減らしています。
孤立は「リアルよりも先にSNSで」起きている
以前は、孤立やいじめは「学校で起きるもの」でした。
しかし今では、SNSで無視されたり、写真や悪口を拡散されたり…
いわゆる「デジタルいじめ」が子どもたちを苦しめています。
【日本財団『18歳意識調査(2022年)』】
- SNS上で傷ついた経験がある:全体の44.6%
- 10代のうち7割が「SNSでの関係にストレスを感じたことがある」
しかも、SNSでのいじめや孤立は、大人の目に届きにくいのが特徴です。
「本人が言わなければ気づけない」ため、問題の深刻化や孤立の長期化を招いています。
他国ではどうしている? 〜デジタル孤立への対策〜
フィンランド
小学校から「デジタル市民教育」を導入し、SNSの使い方・危険性・リテラシーを学ぶ授業がある。
親も一緒に学ぶ機会があり、家庭での対話を促進。
フランス
15歳未満のスマホ利用を原則として制限する法律を施行。
学校での携帯電話使用は禁止し、リアルな対話を重視。
アメリカ
いじめ加害者にはカウンセリングを義務づける州も。
学校と家庭が連携して、SNS上のトラブルにも対応。被害者の心理支援も早期にスタート。
親にできることは?
- SNSを「禁止」するより「一緒に知る」
- 子どもが使っているSNSを実際に見せてもらい、「どんなやりとりしてるの?」と興味を持つ
- 否定ではなく、共感ベースの対話を心がける(例:「へえ、そんな使い方あるんだね!」)
- デジタル使用の“家庭ルール”を決める
- たとえば「22時以降はスマホおやすみ」「スマホはリビングで使う」など、目が届く範囲で安心感を与える
- 「SNSで疲れてない?」と聞いてみる
- 「楽しい?」より、「しんどくない?」と聞くことで、子どもが話しやすくなることも
- 親もSNSについて学ぶ
- 文部科学省・総務省などが提供する「情報モラル教育」サイトや、教育系YouTubeなどで簡単に知識を得ることができます
おわりに
今の子どもたちは「見えない場所で孤立する時代」に生きています。
親が思う以上に、画面の中で心をすり減らし、誰にも相談できずに苦しんでいる子が多いのが現実です。
でも、親が「知ろう」とする姿勢だけで、子どもはふっと安心することがあります。
「うちの子は大丈夫」ではなく、
「もしかしたら、話したいことがあるかもしれない」と思って、まずは一言聞いてみませんか?
あなたのその一歩が、子どもを“画面の孤独”から救うきっかけになります。